畳の歴史について
2022/07/19
古くから日本で親しまれてきた畳は、歴史を遡ると奈良時代や平安時代に原型となるものを使っていたと書物に記録が残されております。
では、今日における畳になるまで、どのような歴史を辿ってきたのでしょうか。
今回は、畳の歴史や語源・由来について解説していきます。
畳の語源・由来を紐解く
畳の語源は元々「たたむ」が名詞化されたもので、「ムシロ」や「ゴザ」といった薄い敷物を総称して畳と呼ばれていました。当時の畳はムシロやゴザのような敷物だったので畳床は存在せず、折りたたむあるいは重ねて使用していたようです。現在の畳は「厚畳(あつだたみ)」といわれており、昔は敷き布団のような使い方をされていました。和室のように部屋全体に畳を敷き詰めるようになったのは、室町時代の書院造や寺院の普及が始まってからとされています。
畳の発祥は日本?中国?
さて、日本の文化の発祥を辿ると、お茶や箸など、中国大陸から影響を受けたものが多いです。そのため、畳も中国が発祥なのではと思われますが、実は畳は日本が発祥・発展させた文化なのです。現在においても、畳は日本の高温多湿な気候に適切な床材であり、今もなお文化は続いています。畳は日本独自で発展した文化だと考えていいでしょう。
現在の「畳」が形成されるまでの歴史を振り返る
では、現在の畳が形成され、一般に普及・浸透していくまでの歴史を振り返ってみましょう。特に、平安〜室町時代における畳は権力の象徴として用いられていたのは興味深いところです。
奈良時代(710年〜794年)の畳の歴史
畳の歴史を紐解くと、奈良時代には畳のもととなるものが使われていた記述があります。
古事記・日本書紀・万葉集には、以下のような畳の記述が残っています。
・菅畳
・菅畳八重
・皮畳八重
・きぬ畳八重
・木綿畳
・八重畳
・畳薦
現存する中で最古の畳は、奈良東大寺の正倉院にある聖武天皇が使用した「御床畳(ゴショウノタタミ)」です。この畳は、木製の台座の上に敷いて使うもののようで、現在でいうベッドのような役割を果たしています。古事記の神武天皇の御歌に、
・あし原のしけき小屋にすが畳いやさやしきて我二人ねじ
という節があり、この時代からも「畳」という言葉が使われていたのがわかるはずです。
ただし、この時代の畳は、語源・由来でいうところの「コモ」や「ムシロ」のような折りたためるものを指しています。
平安時代(794年〜1185年)の畳の歴史
平安時代に入ると、寝具として使われていた畳が、一部の床材に使用されるなど、生活様式の変化が現れます。今でいう畳の形として使われるようになったのが、平安時代と考えていいでしょう。ただし、庶民に広く親しまれるというよりは、貴族や身分の高い人が権力の象徴として用いる意味合いが強いものでした。また、畳縁の柄や畳の大きさによって階級を表しており、実際に寝殿造(しんでんづくり)の板敷として使っている絵巻物が残されています。
鎌倉時代(1185年〜1333年)の畳の歴史
鎌倉時代になると、部屋全体に畳を敷かれるようになり、身分の高い人や客人をもてなす部屋として用いられていたようです。建築様式も鎌倉時代から室町時代にかけて書院造となったのも影響が大きいでしょう。また、この時代から畳を敷布団として使うのではなく、床材として使う動きが見られます。
室町時代(1336年〜1573年)の畳の歴史
室町時代から安土桃山時代にかけて、畳の使い方が大きく発展します。千利休(せんのりきゅう)が「妙喜庵待庵(みょうきあんたいあん)」と呼ばれる、茶室がわずか2畳という部屋を考案したのです。そこから、茶道とともに畳が庶民の間にも広く認知されるようになりました。
この頃から、畳の普及が広がり、畳職人の数が急速に増えていきます。
江戸時代(1603年〜1868年)の畳の歴史
現在の和室のように、庶民の家にも畳が部屋一面に敷かれるようになったのは、江戸時代になってからです。この時代の城下町には、職人町や畳屋町といった畳職人が多く住むエリアもあり、伝統工芸が発展したとされています。畳職人は、製造だけではなく原料となるイグサの栽培も行っていたようです。また、庶民にとって畳は大切なものであることから、この時代には長く使えるような知恵・知識の習熟もあったと考えられるでしょう。
明治・昭和・平成・令和の畳の歴史
明治時代から西洋の建築様式を取り入れる動きが見られ、床ではなく椅子やソファに座る生活に変わっていきます。昭和時代になると、床はフローリングを採用し、カーペットを敷くなど、現代の住まいに近い形が形成されました。ただし、畳のメリットが日本の風土に合っている点から、たびたび見直されることが多く、それと共に畳の種類・性質も発展していきます。
まとめ
今回は、奈良時代から現在に至るまでの畳の歴史を解説しました。歴史を振り返ると、元々は高貴な人しか使えなかったものが、広く普及して一般家庭の和室として発展してきたことがわかるはずです。日本の文化として絶えることがない畳は、これからも身近な存在として大切に扱っていきましょう。
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